自由人っていいなぁ | 猫の戦国時代

自由人っていいなぁ

今日2度目の登場、哲学の猫だよ。
今日は小説を紹介しようと思うんだ。戸部新十郎っていう人間が書いた「服部半蔵」
服部半蔵って言うと、みんなはどんなイメージを持ってるのかなぁ・・・
徳川家の忠臣とか、槍の半蔵とか、忍者とか・・・
ものすごい忍術使いなんて思っちゃってる人間もいるんだろうなぁ。
でも、この小説に出てくる服部半蔵はちょっと違うんだ。

よく、小説では架空の人物を作って、都合のいいようにあらゆる場面に登場させたりってあるよね。
この小説に出てくる服部半蔵がまさにそれ、いわば自由人なんだ。
あまりにも都合よく書かれていて、抵抗ある人間もいるかもね。
でもさ、中途半端に都合よく書いてあるんだったらオレもうんざりって感じだけどさ、どうせ「都合よく」書くんだったらとことんってとこが気に入ったね。
よくもここまでって、感心しちゃうぜ。

自由人の半蔵は、徳川家康、織田信長、足利義輝、足利義昭、武田信玄、北条幻庵、細川藤孝、松永久秀等、層々たる人たちと関わりを持ちながら、歴史的瞬間にいくつも立ち会っていくんだ。

歴史的瞬間に立ち会うってことは、必然性ってぇのがなきゃなんないだろ。ただ目撃するだけじゃぁつまんないしね。
だから、半蔵の立場はころころ変わるんだ。
それも、自分で望んで変わるんじゃなくて、成り行きに身を任せるっていうのかな、半蔵も「ああそうか」って、そんな状況をどこかで楽しんでるって感じ。

もっといっぱい書きたいことあるんだけどさ、オレ、猫だから上手く伝えられないよ。
とにかく、半蔵の人柄と、半蔵を取り巻く人間達の立場や心境の変化とか、見どころってぇのか、読みどころってぇのか、すげぇいっぱいあるからさ。
全部で十巻まであるけど、楽しみながら読めると思うぜ。

まぁ、正統派の小説じゃなきゃダメって人間には向かないかもしれないけどな。
オレ、猫だからさ、自由人っていうの、憧れちゃうんだ。
自由猫って言うのか?
なんか変な響きだけど、まっ、いいか。
だってオレ、猫だよ、猫。小さいことなんか気にしちゃぁいられないさ。


服部半蔵  戸部 新十郎 / 光文社時代小説文庫